ビタミンEとは?

くるみ(胡桃)に多く含まれるビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンの代表格です。

抗酸化作用というのは、酸素(活性酸素・フリーラジカル)が細胞組織を破壊するのを防ぐ作用です。酸素は体外では紫外線や排気ガスなどにより、また体内ではストレスや過度な運動などにより活性酸素に変化し、体内の細胞を常時攻撃します。

活性酸素は癌や生活習慣病など様々な病気や症状、老化の要因とされています。この活性酸素を除去する機能が抗酸化作用です。

抗酸化作用は主に抗酸化物質によってもたらされます。抗酸化物質は私達の体内で生成されますが、40歳を過ぎるころから生産量が激減してくると言われます。その為、体外から抗酸化作用を取り入れることが様々な病気や老化のリスクを軽減することになるのです。

抗酸化作用を持つ成分はビタミンEの他にもポリフェノール類やカロテノイド類など多くのものがありますが、それらの中でもビタミンEは強力な抗酸化作用を持つと言えるでしょう。

ビタミンEに期待される効果・効能

ビタミンEが持つ効果・効能は抗酸化作用に尽きます。しかし、抗酸化作用は様々な病気や症状、老化の要因となるため、間接的にそれらのリスクや進行を軽減することになり、それがビタミンEに期待される効果・効能と言われることがあります。

主なものとしては次のようなものがあります。

  • 老化の進行を遅らせる効果 (アンチエイジング効果)
    活性酸素による細胞へのダメージを軽減することがアンチエイジングに繋がると考えられています。
  • 美肌効果
    肌荒れやシミ、シワを予防する効果。また、血行が良くなることから肌色が良くなるとも言われます。
  • 血液サラサラ効果
    悪玉コレステロールは血管内のコレステロールが酸化することによってできるとされます。つまり抗酸化作用は悪玉コレステロールをできにくくし、血流をよくします。
  • 高血圧予防
    血流がよくなることにより当然血圧の低下も期待できます。
  • 動脈硬化予防
    悪玉コレステロールができにくくなれば、当然動脈硬化の予防にもつながります。
  • 心筋梗塞・脳梗塞予防
    血行が良くなり、動脈硬化のりクスが低くなれば、当然心筋梗塞や脳梗塞のリスクも低くなります。
  • 冷え性・肩こりの改善
    冷え性や肩こりは血行不良が大きく関係しています。抗酸化作用による血液サラサラ効果により毛細血管の血流が良くなることが期待でき、結果として冷え性や肩こりの改善も期待できるようになります。
  • アルツハイマー・認知症予防
    アルツハイマーなど認知症の原因の一つは活性酸素による脳細胞の破壊と言われます。そこでビタミンEなど抗酸化物質はアルツハイマーなど認知症の改善はできませんが、予防や進行を遅らせることは期待できるとされています。
  • 過度な運動による疲労回復効果
    運動をすると酸素を燃焼してエネルギーにしますが、この時フリーラジカルが発生します。このフリーラジカルが疲労や筋肉痛などの一つの要因になると考えられているため抗酸化物質を摂ることで疲労回復を促進すると考えられています。
  • 癌(がん)予防
    活性酸素やフリーラジカルは癌(がん)の原因に大きく関わっていると言われています。まだ具体的なことは分かっていませんが、抗酸化物質が癌(がん)の予防や改善に効果的という研究報告は多くあります。

くるみ(胡桃)に限って言えば、くるみに含まれるビタミンEの抗酸化作用は他の成分と合わさることにより更に強力になります。

例えば、αリノレン酸(アルファリノレン酸)との相乗効果により更なる悪玉コレステロール予防、血液サラサラ効果、動脈硬化予防が期待できます。

また、同じくαリノレン酸とトリプトファンなど脳神経に関わる成分との相乗効果によりアルツハイマーなど認知症の予防も効果が増すと考えられます。

更に、ビタミンB1の美肌効果や疲労回復効果を増幅することも期待できます。

そして何より、クルミに含まれる脂質の酸化を防ぐという効果があります。くるみはαリノレン酸をはじめとする不飽和脂肪酸が非常に多い食品です。

これら脂肪酸は酸化しやすいという欠点を持っています。脂肪酸が酸化すると健康に良いどころか過酸化脂質という動脈硬化や癌(がん)の原因と言われる物質に変化してしまうのです。

栄養価値の高いαリノレン酸などを過酸化脂質に変えず、そのまま効果を発揮させることがクルミに含まれるビタミンEの最大の効果と言えるかもしれません。

くるみに多いγトコフェロールコ(ガンマトコフェロール)とその効果・効能

ビタミンEは別名トコフェロールと言われます。ビタミンEには4つ種類があり、それぞれαトコフェロール・βトコフェロール・γトコフェロール・δトコフェロールと呼ばれます。

一般的にビタミンEと言うと、αトコフェロールのことを指します。何故ならαトコフェロールが一番活性作用(抗酸化作用)が強く、体内にも多く存在しているからです。

くるみにはαトコフェロールも含まれていますが、それほど多くはありません。一番多いのはγトコフェロールです。

γトコフェロールは近年まであまり生理活性作用を持たないビタミンEという見解が強かったのですが、最近では研究が進んできて他のビタミンE(トコフェロール)とはちょっと違う効果・効能が発見されてきています。

例えば、γトコフェロールには強力なナトリウムバランスの調整機能(余分なナトリウムを排出する利尿作用)があるということが報告されています。ナトリウムバランスが正常に保たれるということは、むくみやこむら返りに効果が期待できると考えられます。

また、γトコフェロールにはチロシナーゼの活性を抑制し、黒色メラニン化を防ぐ美白効果があることも報告されています。さらに、前立腺がんの発症率を大幅に軽減するといった研究報告もあります。

その一方、γトコフェロールを摂取しすぎると肺の炎症を高め喘息が悪化するという研究報告もあります。

いずれにせよ、γトコフェロールの効果・効能に関してはまだ研究段階と言え、今後の状況をみていく必要があります。

 

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