リノール酸とは?

くるみ(胡桃)は成分の半分以上が脂質という非常に多く脂肪酸を含む食品です。その中でもくるみの代表的な脂肪酸とされるのがアルファリノレン酸(α-リノレン酸)です。アルファリノレン酸は健康価値の高い成分(アルファリノレン酸の効能・効果はこちらを参照)で「くるみが健康に良い」と言われる大きな根拠となっています。

しかし、くるみに一番多く含まれる脂肪酸はリノール酸なのです。

リノール酸はアルファリノレン酸同様、食べ物から摂取が必要な必須脂肪酸で、私達の健康にとって無くてはならない大事な脂肪酸なのですが、少々クセモノのでもあります。

リノール酸を簡単に説明すると以下のようになります。

  • リノール酸は体に必要な必須脂肪酸。
  • リノール酸はエネルギーの原料になる他、細胞や生理活性物質の材料となる。
  • リノール酸は悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす効果・効能がある。
  • しかし、リノール酸を摂り過ぎると善玉コレステロールも減らしてしまう。
  • 現代の食生活ではリノール酸は過剰摂取傾向にある。

つまり、リノール酸は適量であれば非常に健康に良いのですが、摂取しすぎると逆に体に悪い成分となってしまうのです。しかも、現代の食品はリノール酸が含まれるものが多いため、過剰に摂り過ぎてしまう傾向にあるのです。

くるみに含まれるリノール酸が体に良い訳

リノール酸は過剰摂取が気になるクセモノですが、適量であれば健康に良い成分なのです。ではリノール酸の適量とはどのくらいでしょうか。

リノール酸の適量とは日本人の食事摂取基準(2010年版)によると1日9g前後(オメガ6脂肪酸全体)と言われており、摂取上限は総摂取エネルギーの10%(22-30g)程度とされています。

くるみに含まれるリノール酸は100g中およそ38gです。健康に良いくるみの摂取量が約28gと言われますので、そこに含まれるリノール酸は約10gです。加熱や消化過程で100%は吸収されませんので、大体適量と言えます。

更にリノール酸摂取で大切なのは、オメガ3脂肪酸とのバランスです。正確にはリノール酸の種別であるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率です。

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸はお互いの作用を牽制しあうので、バランスを損なうと各脂肪酸の過不足につながり、健康に影響がでるのです。

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の理想的な摂取比率は4:1と言われます。

くるみに含まれるオメガ6脂肪酸はリノール酸でオメガ3脂肪酸はアルファリノレン酸です。この両者の比率はリノール酸38g(100g中)、アルファリノレン酸9g(100g中)でほぼ理想に近い4:1なのです。

この比率こそクルミが悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす最大の理由なのです。

とはいえ、勿論、これはくるみ単体の話で、他の食品にリノール酸が多く含まれていれば健康を害するリスクが高まります。

リノール酸の成分概要

リノール酸:linoleic acid

リノール酸は脂質を構成する成分で、多価不飽和脂肪酸の一つであるオメガ6系脂肪酸の代表格です。

リノール酸に代表されるオメガ6脂肪酸は体内で生成できない必須脂肪酸です。リノール酸はサフラワー油など代表的な食用油に多く含まれているため、まず不足することは無いと言われています。

逆にリノール酸の過剰摂取による健康への弊害が示唆されることが多くなり、現在ではリノール酸の摂取量を減らし、オメガ3系脂肪酸を多く摂ることが推奨されています。

リノール酸に期待できる効果・効能

リノール酸は他の不飽和脂肪酸同様、エネルギー源になったり、細胞組織や生理活性物質の材料となります。

リノール酸は「一時的に悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす」効果が期待できると言われています。

また、リノール酸の一部はガンマリノレン酸に変換され、さらにアラキドン酸に変換されます。つまり、リノール酸に期待できる効果・効能はアラキドン酸に期待できる効果・効能を兼ねます。

アラキドン酸は生理活性作用として免疫力や記憶力、認知力、血液凝固作用や炎症作用、などに関与するとされます。

リノール酸が不足すると

リノール酸が不足すると代謝組織に影響がでると考えられ、抜け毛や傷の治りが遅くなったりするなどと言われることもありますが、現在の食生活においてリノール酸の不足はまずありえないとされます。

リノール酸の過剰摂取

リノール酸(オメガ6系脂肪酸)は欠乏症よりも過剰摂取が懸念されています。これはリノール酸をはじめとするオメガ6系脂肪酸は多くの食品に含まれているためです。

リノール酸を過剰摂取すると単純に脂肪分が増えるので肥満になりやすくなりますが、それよりも問題なのは、オメガ3系脂肪酸とのバランスが崩れ、生理活性作用に乱れが生じることです。

具体的には次のようなことが懸念されます。

  • 善玉コレステロールの減少
  • 悪玉コレステロール、中性脂肪の増加
  • 血栓ができやくなり、血液がドロドロしてくる。
  • 動脈硬化のリスクが高まる。
  • 心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まる。
  • 免疫作用が乱れ、アレルギーのリスクが高まる。
  • 細胞組織が炎症しやすくなる。
  • 皮膚炎などのリスクが高まる。
  • 癌(がん)のリスクが高まる。

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