プロアントシアニジン

くるみに含まれるプロアントシアニジンのまとめ
  • プロアントシアニジンはフラボノイド系のポリフェノールの一種。
  • プロアントシアニジンはビタミンCやビタミンEよりも強力な抗酸化作用を持ち、抗酸化作用の王様と言われることもある。
  • プロアントシアニジンを含む代表的なものには松の樹皮やブドウの種子がありますが、その他にも幅広い植物に含まれている。
  • くるみに含まれるプロアントシアニジンは比較的多い部類に入ります。
  • プロアントシアニジンの健康効果は主に抗酸化作用によるもの。
  • 具体的な効果・効能には、「胃潰瘍予防」「大腸癌(がん)予防」「白内障予防」「糖尿病の合併症予防」「筋肉疲労の低減効果」「血流の改善効果」「足のむくみ予防」「美白効果」「体臭(加齢臭)予防」などがある。

プロアントシアニジンとは?

プロアントシアニジン(PA)とは植物、特に果実類、麦類、豆類に含まれるフラボノイド系のポリフェノールの一種です。

イチゴやぶどう、りんごやクランベリー、カシスの他、カカオや小豆、大麦など幅広い植物に含まれています。もちろんクルミにも含まれています。

プロアントシアニジンは実よりも果皮や種皮などの皮に多く含まれており、代表的なプロアントシアニジンと言えば、松の樹皮やぶどうの種子に含まれるものです。

尚、プロアントシアニジンは以前はタンニンと呼ばれていました。タンニンは性質上の名称であるため、現在のように化学構造で物質の名称を分類する慣例にそぐわないため、タンニンの中でも縮合型タンニンと呼ばれる構造のものをプロアントシアニジンと命名されています。

ちなみにプロアントシアニジンは加水分解によってアントシアニンを生成する物質でもあります。

プロアントシアニジンは構造が多様なため植物から単独で取り出すことが難しく、近年まで不明な部分が多い物質でした。しかし、最近では分離精製の方法も確立され、実験によってプロアントシアニジンに様々な健康作用が確認されたため、研究が盛んになってきています。

くるみに含まれるプロアントシアニジン

プロアントシアニジンはクルミの中でも代表的な抗酸化物質です。

くるみにはビタミンEをはじめ、エラグ酸やフェルラ酸、ルティン、ゼアキサンチンなどの抗酸化物質が多く含まれていますが、この中でもプロアントシアニジンは強力な抗酸化作用を持つ物質と言えます。

また、くるみに含まれるプロアントシアニジン、エラグ酸、フェルラ酸、ミリセチン、シリング酸、バニリン酸などの豊富なポリフェノール類を総称してクルミポリフェノールと呼ぶこともあります。

くるみのプロアントシアニジンは主に、「プロアントシアニジンモノマー」「プロアントシアニジンダイマー」「プロアントシアニジントリマー」「プロアントシアニジン4-6mers」「プロアントシアニジン7-10mers」「プロアントシアニジンポリマー」の形で含まれています

くるみにおけるプロアントシアニジンの含有量はイチゴやりんごなどと比べると少ないものの、植物全体で考えると多い部類に入ります。

プロアントシアニジンに期待できる効能・効果

フランスを中心とした欧州ではGSE(Grape Seed Extract)と呼ばれるブドウ種子抽出物が医薬品として認可されており、高血圧や静脈瘤、網膜症の改善などに利用されています。このGSEの主成分がプロアントシアニジンであり、欧州ではプロアントシアニジンには血管保護作用があると古くから考えられてきました。

日本でもキッコーマンによるプロアントシアニジンの研究が有名で、多くの特許を取得するとともにプロアントシアニジンを主成分としたグラヴィノールという健康食品素材を開発しています。

まだ研究段階のことが多いものの、このようにプロアントシアニジンの利用は既に実用段階のものとなっています。

プロアントシアニジンの基本的な効能は?

プロアントシアニジンの中心となる効能は抗酸化作用です。プロアントシアニジンの抗酸化作用はビタミンEやビタミンCよりも強いという研究報告も多く、現在、最も強力な抗酸化物質とも言われることもあります。

抗酸化作用は生活習慣病や老化の原因とされる活性酸素を抑制する効果があるとされ、プロアントシアニジンの健康効果もこの抗酸化作用に沿ったものとなります。

どのような健康効果が期待できるのか?

抗酸化作用による健康効果は様々なものがありますが、プロアントシアニジンの実験によって確認されているものには次のようなものがあります。

◆マウスなどの動物及び試験管内の実験によって確認された健康効果

動脈硬化予防

動脈硬化の主な原因は酸化したLDLコレステロール(悪玉コレステロール)にあるとされますが、プロアントシアニジンはこの酸化を抑制することで動脈硬化発症のリスクを低くすることが確認されています(参1)

胃潰瘍予防

プロアントシアニジンはラットの実験において胃潰瘍の要因の一つである塩酸/エタノール(HCl/EtOH)誘発胃粘膜障害を抑制することが確認されています(参2)

大腸癌(がん)予防

癌(がん)細胞の発生や癌転移には活性酸素(フリーラジカル)が大きな影響を及ぼしていると考えられています。マウスを用いた大腸がんの発癌抑制試験をしたところプロアントシアニジンが大腸癌発症を抑制したことが確認されています(参2)

白内障予防

白内障は眼球内の脂肪が活性酸素(フリーラジカル)によって酸化することが一つの要因となっています。そのため、抗酸化作用は白内障を予防する有効な手段とされています。ラットを使った実験でも白内障を抑制する効果が確認されています(参2)

糖尿病の合併症予防

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、血糖値が高くなると体内の抗酸化力が落ち、ブドウ糖そのものも酸化して活性酸素を生じさせるなど体内、特に血管内の酸化が進むことになります。これが動脈硬化や白内障、網膜症、腎症などの合併症の大きな要因となります(参3)

そこで、プロアントシアニジンも糖尿病に効果的と考えられ、事実、糖尿病ラットを使った実験によると血糖値上昇抑制や合併症の抑制に有効なデータが示されています(参3)

◆人への実験によって確認された健康効果

筋肉疲労の低減効果

運動による筋肉疲労の原因は、筋肉への物理的な負荷とは別に大量の酸素を消費することで発生する活性酸素が筋肉(の細胞)を損傷するという要因もあります。そのため抗酸化作用を持つ物質は筋肉疲労を軽減すると考えられています。プロアントシアニジンの実験でも伸縮性筋力発揮に伴う筋力低下を抑え、その回復を速める効果が確認されています(参2)

血流の改善効果

活性酸素は血管を攻撃するために血流が悪くなる原因となります。プロアントシアニジンの抗酸化作用にはこの活性酸素による血流障害を比較的短期間で軽減する効果が確認されています(参4)

足のむくみ予防・改善効果

活性酸素がむくみと関係しているかは不明確なところもあり議論の余地がありますが、前述の血流改善効果がむくみの予防や改善にも繋がると考えることができます。事実、プロアントシアニジンを使ったむくみに対する実験でも効果性が確認されています(参5)

美白効果・しみ・そばかす・肝班・改善効果

アスコルビン酸に代表される抗酸化物質は既に美白やしみ・そばかす・肝班を改善するための成分として化粧品などに用いられています。強力な抗酸化作用を持つプロアントシアニジンにも美白効果やしみ・そばかす・肝班などを改善する効果が確認されており(参6,7)化粧品などの成分にもなっています。

体臭(加齢臭)予防効果

体臭は体内の腐敗物質が体外へ放出されることが原因です。体臭を予防するにはこれらの原因物質等を抑制させる必要がありますが、プロアントシアニジンにはその作用が確認されています。プロアントシアニジンの抗酸化作用は腐敗物質を分解・中和したり、臭いの要因となる過酸化脂質を抑制することで消臭を可能にしています。特に消臭しにくい加齢臭の原因物質と言われるノネナール等を抑制することが特徴です。(参8)

便臭消臭効果

体臭と同様、プロアントシアニジンは便の臭いも軽減することが確認されています。便の臭いは主にメチルメルカプタン、アンモニア、メチルアミンなどの悪臭物質が原因ですが、プロアントシアニジンはこれらの悪臭物質を分解・抑制することで便の臭いを抑制することが確認されています(参9)

プロアントシアニジンの注意点・副作用

プロアントシアニジンの危険性や副作用は今のところ報告されておりません。

過剰摂取に関しても、特に問題はなく、過剰な分は尿から排泄されるとされます。

他の薬などの相互作用に関しても、特に危険性は報告されておりません。

危険性の少ない物質で、食品から摂取する場合においては基本的に問題無いと言えるでしょう。ただし、サプリメント等で摂取する場合は安全が保証されているわけではないので、現在、病気にかかっている方や妊婦、授乳中の方、幼児などは医師に相談の上、利用した方が良いでしょう。

 

【参考文献】

*参1
ブドウ種子ポリフェノール(プロアントシアニジン)-LDLの酸化を抑え、動脈硬化発症を抑制する-

*参2
プロアントシアニジンの機能性解明と開発

*参3
活性酸素・フリーラジカルと疾患

*参4日本ヘモレオロジー学会誌.5(1).35-37(2002)
健常者9名(男性6名、女性3名、年齢22~59歳)に対して、被験者全員が同一の朝食を摂った1時間後に飲用前の採血を行い、直後にグラヴィノール(プロアントシアニジン;PAとして200mg)を水道水(約150ml)にて飲用し、その2時間後に飲用後の採血を行ったところ、飲用前と比較して、飲用2時間後の全血通過時間が有意に短縮された。

*参5FOOD Style21 2006年5月号
むくみを自覚している女性8名(41.0+-3歳)にグラヴィノール(PAとして400mg)含有錠剤を単回摂取させ、着座モデルによる下肢むくみを非接触式三次元計測器(デジタイザ)にて経時的に測定したところ、プラセボ群と比較して、グラヴィノール摂取群において、有意な下肢むくみ抑制効果が確認された。
*参6経口摂取用美白剤およびその利用(特開2000-69938)

*参7Phytotherapy Res., 18(11),895-899,2004
顔に肝班(女性特有のしみ)のある女性12名(平均年齢45.4歳)にグラヴィノールを1日プロアントシアニジンとして160mgずつ6ヶ月間摂取してもらったところ、3ヶ月目から顔のしみが薄くなり、6ヶ月目でメラニン指数が有意に低下し、明確な改善効果が確認された。

*参8
体臭防止剤(特開2001-072563)

*参9
排泄物用経口消臭剤(特開平11-343237)

 

adsense

最後まで読んで頂きありがとうございます

関連記事

no image

クルミに含まれる栄養成分・栄養素

くるみの代表的な栄養成分はアルファリノレン酸 くるみ(胡桃)に含まれる成分の内、半分以上は脂質です

記事を読む

no image

リノール酸とは?

くるみ(胡桃)は成分の半分以上が脂質という非常に多く脂肪酸を含む食品です。その中でもくるみの代表的な

記事を読む

no image

植物ステロール(β-シトステロール)

くるみに含まれる植物ステロールのまとめ 植物ステロールとは多くの植物に含まれるファイト

記事を読む

no image

アルファリノレン酸(αリノレン酸)とは?

くるみ(胡桃)における最も代表的な薬効成分とも言えるのがアルファリノレン酸(αリノレン酸)です。クル

記事を読む

no image

エラグ酸

くるみに含まれるエラグ酸のまとめ エラグ酸とはポリフェノールの一種。 植物内では

記事を読む

no image

トリプトファンとは?

くるみ(胡桃)に比較的多く含まれているトリプトファンとはアミノ酸の一種です。トリプトファンは体内では

記事を読む

no image

ビタミンB1とは?

ビタミンB1はくるみ(胡桃)に多く含まれる代表的なビタミンの一つです。 ビタミンB1は糖質を代

記事を読む

no image

ビタミンEとは?

くるみ(胡桃)に多く含まれるビタミンEは抗酸化作用を持つビタミンの代表格です。 抗酸化作用とい

記事を読む

adsense

adsense

no image
プロアントシアニジン

くるみに含まれるプロアントシアニジンのまとめ プロアント

no image
エラグ酸

くるみに含まれるエラグ酸のまとめ エラグ酸とはポリフェノ

no image
植物ステロール(β-シトステロール)

くるみに含まれる植物ステロールのまとめ 植物ステロールと

no image
癌(がん)予防・抑制

くるみ(胡桃)などナッツ類は癌(がん)に効果的な食品として紹介されるこ

no image
アンチエイジング(老化予防)

くるみ(胡桃)の成分やその効能・効果を調べていると、その多くがアンチエ

→もっと見る

PAGE TOP ↑