糖尿病の改善
くるみ(胡桃)は糖尿病の改善などに効果的と言われることがあります。これはくるみに含まれる成分等に糖尿病を改善するような作用があると言うよりは、糖尿病改善における食事療法に有効という意味で使われる場合が多いようです。
糖尿病とは?
糖尿病とは先天性の要因もありますが、主に体内で処理しきれない量の糖質(炭水化物)を摂り続けることにより糖質の代謝能力が低下する病気です。
人間が運動したり考えたりするにはエネルギーが必要です。人は大部分のエネルギーを糖質から生産しています。糖質を摂取すると小腸でブドウ糖に変換され、それが血液と一緒に体中に届けられます。筋肉や脳はそのブドウ糖をエネルギー源として活動するという仕組みです。
糖質を摂り過ぎると血液中のブドウ糖が増えます。血中液濃度の高いブドウ糖は体に害になるので、インスリンというホルモンが筋肉や脳のブドウ糖吸収を促進したり、肝臓でブドウ糖をグリコーゲン(一時的に貯蔵できる糖)や脂肪に変換するのを促進します。
このようにインスリンは血中のブドウ糖濃度を調節する働きがありますが、血中のブドウ糖濃度が高い状態が頻繁に起こるとインスリン分泌機能が疲弊し、次第にインスリンが分泌されないくなってきます。
そうなると血中のブドウ糖濃度が高い状態が慢性化し、手足の神経異常、倦怠感、めまい、筋肉の萎縮、自律神経異常、視力の低下など様々な症状が現れてきます。これが糖尿病と言われるものです。
くるみが糖尿病に役立つ理由
くるみに含まれるビタミンB1はブドウ糖代謝を促進する
くるみにはビタミンB1が多く含まれています。ブドウ糖が実際にエネルギーに代謝される過程にはTCA回路(クエン酸回路)という代謝システムがあります。TCA回路では補酵素の働きによりブドウ糖が様々な物質に変換され、エネルギー利用可能な状態になります。その補酵素の重要なものの一つがビタミンB1なのです。
ビタミンB1は熱に弱く、水に溶けてしまうため調理した料理から摂取しにくいという性質があり、不足しがちなビタミンです。ビタミンB1が不足するとこのTCA回路がうまく機能せず、ブドウ糖をうまくエネルギーに変換できません。
そう言う意味ではクルミはビタミンB1を豊富に含むので糖質のエネルギー代謝を促進し、血中のブドウ糖濃度を低減する効果が期待できます。
くるみは糖尿病を改善する際の食事療法に役立つ
くるみが糖尿病患者にとって最も期待される効果はビタミンB1ではなく、「糖質の低さと栄養価の高さ」です。
糖尿病における食事療法は主に糖質制限になりますが、糖質を制限しながら必要な栄養素をバランスよく摂取するのは非常に困難で糖尿病患者を悩ませる問題です。
くるみはカロリーが高い食品ですが、糖質は100g中2.61gと非常に糖質の少ない食べ物なのです。さらにくるみにはビタミン、ミネラル、アミノ酸、食物繊維が多種に渡り含まれています。
そして糖尿病の合併症リスクを軽減するオメガ3系脂肪酸であるαリノレン酸も多く摂取できます。このような理由から糖尿病患者の食事療法にくるみは効果的と考えられているのです。
事実、米国糖尿病協会(ADA)やオーストラリアのウーロンゴン大学の研究論文には糖尿病に対するくるみの有効性が示唆されています。
くるみは糖尿病における食事療法のメニューに加えられることの他に、腹持ちがよいため糖尿病患者の間食用食品としても有効と言われています。
ただし、くるみはカロリーが高いので食べ過ぎは禁物です。少量(28g程度)を継続的に食べることが効果的と言われます。また、くるみの商品によっては糖質が高いものがあります。購入前に必ず成分内容を確認してください。
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