認知症予防・緩和
くるみ(胡桃)は古くから「ブレインフード」として知られています。ブレインフードとは日本語で「健脳食」と訳されますが、その名の通り脳の健康を促進する食べ物のことを指します。
くるみのブレインフードとしての作用がアルツハイマーなど認知症等に効果的なのではないかと、これまでにいくつかの研究がされ、クルミの認知症に対する有効性を示唆する結果が報告されています。
認知症とは?
認知症には「アルツハイマー型認知症」と「血管性認知症」の2種類があり、全体の6割をアルツハイマー型認知症が占めます。認知症はかつて痴呆症と呼ばれることもありました。また、「ボケ」とう俗称もありましたが現在には認知症という名前が一般化しています。
認知症の主な症状は記憶障害ですが、単なる物忘れではなく「忘れていることすら忘れる」という状態になります。症状が酷くなるとコミュニケーションがとれなくなるばかりか、日常生活も困難になり人格障害が起きることもあります。
認知症の原因は明確に解明できていませんが、脳細胞の損傷によるものと考えられています。
何故、くるみは認知症に効果的と言えるのか?
くるみには脳神経や脳細胞に作用し、脳機能を向上させたり正常化させる成分が含まれています。これらの成分は脳の損傷を修復する働きは確認されていないため、認知症の治療・改善は見込めませんが、脳を健康にしたり、損傷を受けていない脳細胞の機能を高めることで認知症の予防や症状緩和の効果は期待できると言えます。
くるみに含まれる成分と認知症への効果を具体的にご説明します。
くるみに含まれる抗酸化物質が脳細胞の損傷を軽減する
アルツハイマー型認知症の原因の一つは、たんぱく質の一種であるアミロイドβによる酸化ストレスで脳細胞が損傷するためと考えられています。
くるみにはビタミンEやポリフェノール類、カロテノイド類といった抗酸化作用を持つ成分を多く含んでいます。更にくるみに含まれるトリプトファンというアミノ酸は体内でセロトニンに変換し、更にメラトニンという神経伝達伝達物質に変換されます。
くるみにはトリプトファンが含まれているだけでなく、トリプトファンがセロトニンに変換される際に必要なビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムも含まれており、効率の良い変換が期待できます。
このメラトニンは睡眠などに作用するホルモンですが、脳内に入ることができる強力な抗酸化作用を持つ物質という側面も持ちます。このメラトニンの抗酸化作用がアミロイドβの酸化ストレスを軽減することで認知症を予防および症状の遅延が期待できるという見解があります。
くるみに含まれるαリノレン酸が血管性認知症を防ぐ
血管性認知症は脳の血管が詰まったり出血することにより、脳細胞が損傷することが原因と考えられています。脳の血管が詰まる大元の原因は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)によるものです。
くるみに含まれるαリノレン酸は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす血液サラサラ効果があるため、脳の血管への損傷を減らし血管性認知症のリスクを軽減する効果があると言えます。
αリノレン酸が原料となるDHAが認知症を緩和する
くるみに含まれるαリノレン酸の一部は体内でEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換します。
DHAは脳の神経細胞膜を柔軟にする作用があります。この作用により神経伝達がスムーズになり脳機能が向上すると言われます。実際に認知症患者には神経伝達物質の減少や、神経伝達に障害を起こすなどの症状があります。
DHAには神経伝達の障害を修復する作用はありませんが、まだ正常な神経細胞の機能を向上させることで認知症の症状を緩和する効果が期待できると考えられます。
adsense
関連記事
-
癌(がん)予防・抑制
くるみ(胡桃)などナッツ類は癌(がん)に効果的な食品として紹介されることが多くあります。勿論、くるみ
-
滋養強壮・虚弱体質改善
くるみ(胡桃)はαリノレン酸の悪玉コレステロールを減らす効果がよく知られていますが、くるみの元来の効
-
集中力・記憶力を高める
くるみ(胡桃)は脳神経に作用する成分を含んでいます。その為、くるみには集中力や記憶力を高める効果があ
-
脳卒中(脳梗塞)の予防
くるみ(胡桃)には脳卒中の危険因子を軽減する要素があります。特に脳卒中の中でも動脈硬化が大きな要因と
adsense
- PREV
- 集中力・記憶力を高める
- NEXT
- 便秘予防・便秘解消